望月先生の功績は「ABC予想を解いたこと」ではなく「IUT理論が認められた」のである、という話。

2020年4月4日

まずは望月先生、おめでとうございます。

ABC予想はフェルマーの最終予想のように一見シンプルなのに難しい問題の代表格でした。実際、望月先生は既存の方法ではなく独自の「IUT理論(宇宙際タイヒミュラー理論)」を構築し、それに基づいて証明されました。

とてもそれらを語れるほどの数学的知見はありませんが、自分の理解している範囲で誤解を恐れずにご紹介してみたいと思います。くり返しいいます。誤解を恐れずにご紹介します。

ABC予想とは

ABC予想は次のような問題です。正確な予想はWikipediaなどを見ていただいて、ざっくりとした説明にします。「互いに素」や「rad」に関してはあとで説明します。

互いに素な整数a, bに対して
c = a + b, d = rad(abc)
とする。このとき、上記を満たすどのようなa,bを選んでも、おおよそcよりdの方が大きいことが多い。

「互いに素」というのは「同じ約数を持たない」ということです。例えば、4と7は 4 = 2 \times 27 = 7 \times 1 で同じ約数を持たないので「互いに素」です。一方で、4と8は4 = 2 \times 28 = 2^3のため2がおなじ約数となり「互いに素」ではありません。

次に「rad」は根基 (radical) といいます。定義を説明するより実際の数で見てみます。

rad(24) = rad(2^3 \times 3) = 2 \times 3 = 6

rad(200) = rad(2^3 \times 5^2) = 2 \times 5 = 10

rad(x)の中の数を素因数分解してx = a^b * c^d * e^fのように表し、b, d, fを消して計算した結果です。

ではABC予想を具体的な数字で見ると、

a = 100, b=121

とすれば

a = 100 = 2^2 * 5^2

121 = 11 ^ 2

のため、互いに素です。次に

c = a+b = 221
d = rad(100 * 121 * 221) = rad(2674100) = rad(2^2 * 5^2 * 11^2 *13^1 * 17^1) = 2 * 5 * 11 * 13 * 17 = 24310

ですので、圧倒的にc < dとなっています。このように何個か計算すれば、圧倒的にdが大きい感じがすると思います。しかし、たまーに「cの方がdより大きい場合」が生じるのです。しかし「ほとんどcよりdの方が大きい」ことを予想しており、それを今回、望月先生が示されました。

IUT理論

ABC予想は長い期間、「既存の方法」で示そうと数々の数学者によって研究されましたが、示すことができませんでした。一方その頃、望月先生は「ABC理論とは関係なく」IUT理論の構築を行っていました。IUT理論というのは、これまたとんでもなく大雑把に言って「空間をぶった切って、ほとんどものと空間にくっつける」理論です。論文の大半がこの説明になっています。

数学的には、「とんでもなく思い切った」考え方だと思います。常識外ですし、おそらくIUT理論が広く認知されるのに数十年や100年くらいかかるかもしれない、と考えています。これ以上IUT理論を語れるほど知らないので、とりあえず上の説明で理解しておいてください。すみません。

ABC予想とIUT理論

望月先生は、IUT理論の考え方を知ってもらう方法として「ABC予想を解く」ことを選択されました。つまり、「ABC予想を解くこと」が目的ではなかったということです。

ではなぜ「ABC予想を選んだのか」というと、ABC予想の問題の作り方にあります。cとdの定義を再度見てみましょう。

c = a + b
d = rad(a \times b \times c)

cの定義には足し算が、dの定義には掛け算が使われています。望月先生はここに注目しました。「cとdの関係を知ること」がABC問題の目的でした。ですので、個々で一旦「cとdを分離」したのです。具体的にはどのようなことかというと、「我々の世界から足し算と掛け算を分離」したのです。

小学校1年生で足し算を習いますね。足し算で「リンゴが3個入ったかごが2つあります。合計でリンゴは何個ありますか?」を解くと、

3 + 3 = 6

小学校2年生で掛け算を習いますね。「リンゴが3個入ったかごが2つあります。合計でリンゴは何個ありますか?」という問題で、

3 * 2 = 6

と習います。ここで足し算と掛け算の関係

3 + 3 = 6 = 6 * 2

を見ることができます。我々の生きている宇宙では、足し算と掛け算はとても固い密接な関係があるわけです。IUT理論でABC問題を解くときには、この関係をぶったぎります。足し算は足し算の宇宙で、掛け算は掛け算の宇宙で考えるわけです。そのあと滞りのないようにそれらの世界をくっつけます。そのようにすることで、望月先生はABC予想の証明に至りました。

まとめ

知見のある方にとってはとても雑な説明であったかと思います。しかし、望月先生のIUT理論がおそらく今後の数学界に多大な影響を与えることをご紹介したいと思い、今回記事を書きました。何かご指摘があれば、コメントをお願いいたします。

この記事を書くことに至った経緯